どういうことかと言うと、PMBOK®ガイドは、プロジェクトマネジメントの"標準書"と銘打ってはいるんですが、記述の統一感のなさというのは、4版まで版を重ねた今でも結構酷くて、特に几帳面なエンジニアには不評だったわけです。
ここに書くんだったら、ここにも書いてないと変だよねとか、etc.
実はこうした指摘は世界中から発刊元のPMIにも寄せられていて、それが今回の改善に反映されたというわけ。
PMBOK®ガイド5版はこうした突っ込みどころが減って、標準書としては読み易くなっています。たぶん。
ま、読み物としての面白みの無さは相変わらずでしょうが。
ですから、PMBOK®ガイドをフレームワークとして活用している会社であるとか、既にPMP資格を持つ方にとって、今回の更新は大した話ではないかもしれません。
PMPを目指す方も、前回言ったように試験への反映は夏以降ですから、当面はPMBOK®ガイド4版で学習すればいいわけです。
受験が8月以降になりそうな方も含めてです。
試験がPMBOK®ガイド5版準拠に切り替われば、PMBOK®ガイド4版の知識が無駄になってしまうかというと、決してそうはなりません。
というか、試験が5版準拠になった後も、試験対策として4版に目を通しておいた方がいいくらいです。
先に書いたように、今回の更新は標準書としての洗練、要は体裁を整えるためのものです。
これがPMBOKの体系の変更につながって、変更箇所として明示されているわけですが、
それ以外にも、追記、削除される箇所は多々あるわけです。
前回の3版から4版の更新でも、せっかく良いことが書いてあると思ってたのに、ごっそり削除された論点がいくつかありました。
こうした明示されない削除は、版が変わってもプロジェクトマネジメントの考え方としては依然有効なわけでして、しかもPMP試験問題のネタになっています。
PMP試験の時期に関わらず、4版から読んだ方がいいというのはそういう理由です。
いたずらに問題演習を増やすより、旧版のPMBOK®ガイドに目を通す方が試験対策的にもよっぽど有効です。
ですから、PMPの取得を計画されている方は、いつになるとも分からないPMBOK®ガイド5版の日本語訳のリリースを待ってから、なんて流暢なことを言わずに、是非PMBOK®ガイド4版で勉強をスタートすることをお勧めします。
夏までに合格を勝ち取ることも十分可能なわけですから。
で、夏以降、新試験になれば、その変わった体系部分の差分を押さえるということになります。
PMBOKの体系そのものは版が変われば、旧体系は試験上は無効になりますから。
ちなみに、ここで私が言っている体系とは、プロジェクトマネジメント・プロセスと、そのフローやカテゴライズ、そしてそれぞれのプロジェクトマネジメント・プロセスのインプット、アウトプット、ツールと技法の表記だけを指します。
さて、ではその差分が試験問題に如何ほどの影響があるかと言えば、前回の3版から4版の更新が参考になるんですが、あの時、弊社の模擬試験問題を見直したところ、20%ぐらいは訂正が必要でした。
まるまる破棄したのは全体の10%程度で、これらはPMBOK®ガイドの体系の形式的なものを問う設問だったので使い物になりませんでした。
でも逆に言えば、のこり80%は更新後も流用可能で、つまり設問への影響はその程度のものであったわけです。
PMP試験の問題はそのタイプ別に、暗記系、理解系、シチュエーション系に分けることができます。
このうちPMBOK®ガイド5版の更新が影響するのは、暗記系と理解系の、それも一部に過ぎません。
多く見積もっても20%ぐらいではないでしょうか。
実はこうした印象は、PMP試験の元締めであるPMIの意図とも一致しておりまして、PMBOK®ガイド4版から5版の更新がPMP試験に及ぼす影響について、PMIは以下のようにアナウンスしています。
試験問題のうち、必要とされる変更がPMBOK®ガイドの変更と直接関係するのは、ごく小さな割合であると見積もられます。
試験問題の更新は、今回のPMBOK®ガイドの更新に伴うというより、絶えず、周期的に行われています。
市販の問題集はどちらかというと、その作問のし易さから暗記系の設問に偏っているので錯覚しがちなんですが、本試験ではPMBOK体系そのものを問う、いわゆる暗記系の設問はそう多くはないということです。
もっとも、余裕の点数で合格する受験生はいないわけで、仮にPMBOK®ガイド5版への更新の影響が10%であったとしてもその対策は合格のためには必須ですけどね。
では、次回はPMBOK®ガイド5版の具体的な更新の内容を見ていきます。
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