それが、上の図です。
4版の体系図に5版の更新内容を朱書きで修正してみました。
えー!?、こんなにも変わるの。マイナーチェンジって言ったやん。
という感じでしょうか。
いや、でもね、やっぱりマイナーチェンジなんです。
PMBOK®ガイドの発刊元であるPMI 曰く、主要な変更は以下の3つ。
1. 第3章の内容の一部が付録に移動
2. 知識エリアにステークホルダー・マネジメントを追加
3. 計画プロセスの追加
1.は、単にページ移動です。付録といったって同じ書物の巻末に付いているわけですから。
2.は、ステークホルダー・マネジメントという新たな知識エリアが追加されて、9つから10に増えるということ。
でもこれだって、これまでコミュニケーション・マネジメントという知識エリアにカテゴライズされていたステークホルダー・マネジメントが、分割されただけのことです。
そもそも、プロジェクトマネジメントにおけるステークホルダーの捉え方は従来からPMBOK®ガイドの一つの”売り”であって、前段のプロジェクトマネジメント・フレームワークの章で、その考え方について、かなり力を入れて論じているわけです。
5版で、見た目の知識エリアが増えたからといって、別に論点が増えるわけではありません。
3.は、スコープ・マネジメント、タイム・マネジメント、コスト・マネジメントに、新たにマネジメント計画プロセスが追加されるということ。
これも、4版では、それぞれの知識エリアの冒頭で、
「マネジメント計画というプロセスが本来存在するんだけども、省略(統合マネジメントに含まれていることに)します。」
と、なぜか文章で済まされていたものが、プロセスとして顔を出したというだけの話。
標準書としての統一感の向上のためです。
プロジェクトマネジメントにおける計画には大きく2つの異なる側面があって、この捉え方は、リアル・プロジェクトでもPMP試験でも非常に重要でして、うちの講座でも時間をかけて解説してるんですが、その考え方が体系にも反映されて、理解し易くなりました。
その他には、
・プロジェクトマネジメントの実績データにDIKWの考え方を反映。
DIKWというのは、Data(データ)、Information(情報)、Knowledge(知識)、Wisdom(知恵)という加工の度合い。
今までも、PMBOK®ガイド独特の言葉を使って、なんとなく表現されてはいたんですが、章によってバラバラで、5版はこれに統一感を持たせたということ。
・ISO21500との整合
ISO9000(品質)、ISO14000(環境)とかで有名なあの標準にプロジェクトマネジメントが加わったんですが、主に用語に関して整合性を考慮したということです。
・PMI発刊の他の標準書との整合。
ちなみにポートフォリオ・マネジメント標準3版、 プログラム・マネジメント標準3版もPMBOK®ガイド5版と同時リリースされます。
キリが無いんでこれくらいにしときましょう。
ということで、いずれも表記、形式上の変更です。
試験への影響は、これら形式を問う、いわゆる暗記系の設問に限られるというわけ。
もちろん、これら変更に伴って、各マネジメント・プロセスのインプット、アウトプット、ツールと技法も、その列挙のし方だけでも大きく変わっていますが、ここではそれも形式変更と呼んでいます。
別に、表記上、形式上の変更を軽んじているわけではないんですが、前回のエントリで言ったように設問の割合が多くないことに加えて、暗記系はごく基本的なことを聞いてきますので。
むしろ、これ以外の、明示されない変更個所の方が試験への影響は大きいような気がします。
どういうものかというと、これも前回のエントリで述べたとおり、実例を使った説明や、図や表の改善、リアルプロジェクトで使われるツールなどの各論の追加など。
こういうのは一々改定履歴として挙げられてはいませんが、PMBOK®ガイドの全編を通じて加筆・修正・削除が行われていて、試験ネタに使われていくハズです。
悩ましいのは、PMBOK®ガイド上は用語だけの紹介であっても、試験ではその中身の理解まで問われたり、派生する論点まで問われたりすることです。
ここは、私たち受験指導する側の経験や情報収集など、その力量が試される部分であるわけです。
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