残念でしたね、東京。
落選の原因として巷間言われている開催地域の順序的なハンディなどは、当然折込済みでしょうから、それを跳ね返すだけの世論の後押しが得られなかったということでしょうか。
当選したリオの歓喜を見ると、この点、新興国には敵いませんね。これから先も。
招致反対派が、活発な運動を繰り広げたシカゴも、世論という点では日本と同じ。
要は成熟社会であることの証左ともいえる訳です。
あとは、石原知事が言うところのIOCの力学。
オバマ夫妻の名演説も、友愛や環境も「具体的な何か」の前では屁の突っ張りにもならんということなんですかねぇ。
この招致活動をプロジェクトとして捉えると、
計画されたアクティビティはすべて完了した。
しかしプロジェクトの目的は達成されなかった。
こういうことでしょうか。
企業においても、受注活動そのものをプロジェクトとしてマネジメントすれば似たような感じになります。
そもそも、必要なアクティビティというものが最後まで、これでヨシ!というものにはならないのですから、
「予測に頼り過ぎず、事実情報に基づいて、事後的に対処する。」
これをプロジェクトが終了する瞬間まで続けることになります。
~ デルファイ法 ~
さて今回興味を持ったのは招致を決める投票です。
このように会議参加者の意見を匿名で集約していく会議体のことをデルファイ法と言いまして、PMBOKガイドでも紹介されています。(注1)
1回目
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2回目
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3回目
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リオ
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26
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46
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66
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マドリッド
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28
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29
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32
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東京
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22
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20
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シカゴ
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18
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面白いのは、1回の最多得票数で決める方法だと、マドリッドが当選していたということ。
あるいは、東京の得票数が1回目よりも2回目の方が少ないことです。
東京、シカゴに投票した人は、自分たちが落ちたとしてもマドリッドにだけはしたないと思っていたということでしょう。
1回目の結果を見て東京に勝ち目がないと踏んで、自分の票が死票になるのを防ぐためにリオ支持に回ったということです。
マドリッドには悪いですが、東京、シカゴの支持者は純粋にインフラ、運営力で評価する人とも見れますので、2回目、3回目の結果は納得できます。
このようにデルファイ法では、全体の中の自分の意見の位置づけを知ることによって、自分の意見を変えていくわけです。
本来のデルファイ法は、このような単純な○×だけではなく、雑多な意見を集約していく手法 でもあります。
いやー、このオリンピック総会なんて、単なるセレモニーに過ぎないと思っていたんですが、直前まで色々あったことが伺いしれますね。
(注1)
プロジェクトマネジメント・プロセスのうち、要求事項収集、スコープ定義、リスク特定のツールと技法として紹介されている。
何故わざわざ匿名にするかというと、現実の会議というのは、発言者の役職や人間関係、声の大きさなどに左右されがちだからです。意見そのものに着目するために意見と人をリンクさせないようにするわけです。
PMBOKの言葉を借りれば、会議における不当な影響力の排除。
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